八木ヶ鼻とその周辺

歴史と名所

文章:八木神社宮司 石澤功

五十嵐川右岸に屹立する高さ180 米に及ぶ絶壁八木ヶ鼻。その成りたちは、今から600~700 万年前の海底火山活動で形成された溶岩ドームの中心部が陸化し、露出して絶壁となったもので、国内でも希少でしかも貴重な例である(平成21年、新潟大学の調査報告より)

縄文人たちのランドマーク

八木ヶ鼻の周りには中土遺跡・長野遺跡・御渕上(みふちがみ)遺跡・直下に岩䕃(がんいん)遺跡があり、縄文時代から無土器時代にさかのぼる先人たちの生活の痕跡が検出されている。集団で移動しながらの生活で、八木ヶ鼻の奇景は移動の目じるしであったと考えられている。

崇拝の対象として

目まぐるしくうつり変わる気象や季節の様相は、自然への畏敬や崇拝へと結びつき、神々を祀ることにより不安の軽減と安定を求める信仰の姿となる。八木ヶ鼻そのものを拝む形から、やがて頂上に一社を建て、祭りごとをそこで執り行う形態が生まれる。大同二年(807)がその始まりだったと伝えられ、これが八木神社の起源とされている。

八木守門大明神

山頂に祀られた小さな社は、その後岩壁の麓に遷され、やがて現遷座地に本殿・拝殿が建立された。現存する杉の大木は、その時植栽されたものと伝えられる。八木神社に祀る神は、倉稲魂命(稲作の神)と岩間戸神(門戸安全の神)の二柱が素である。八木ヶ鼻と守門岳を結ぶ安全守護神であることから、江戸時代は八木守門大明神と称されていた。

ハヤブサが生息する地

八木神社拝殿の建立は明和五年(1768)であるが、築造祝いに村松藩主が「ハヤブサ彫刻額」を一対奉納した。昭和四十年「八木ヶ鼻のハヤブサ繁殖地」として県天然記念物に指定。同時に鳥獣特別保護区。西側斜面から湧きでる水は、県名水に選定、「八木ヶ鼻湧水」として親しまれている。八木ヶ鼻は三条市指定名勝第1 号に指定されている。

八木神社の入口には赤い鳥居が建ち、木々の茂る参道の奥に拝殿がある。

八木神社の建造物は平成17 年、三条市指定文化財になる。万治元年(1658)の建立で、流れ造り・板葺きの江戸時代以前の建築様式が特徴。

2018年09月10日、県民生活・環境部環境対策課が公表した新たな「新潟県の名水」に選定された「八木ヶ鼻湧水」

石澤功:1200年の歴史を持つ八木神社の宮司。下田の歴史を今に語る事ができる重鎮

八木神社
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